ファシリテーターになるための必要なスキルや心構えを紹介してくれている入門書。
ファシリテーションとリーダーシップは厳格に異なる。
自分の意見を出し、意見合意し、
周囲を引っ張っていくといった従来型のリーダーシップは、
もはや通用しなくなってきており、
集合知で勝負するためのファシリテーションが求められてきている。
ファシリテーターになるまでのステップとして、3ステップある。
①「フォロワー」として会議を観察する
②会議の「サポート役」になってみる
③ファシリテーターに挑戦してみる
当書を参考にしながら、
自分がどのステップにいるのか、
また、自分に何が必要なのかを探していっていただきたい。
ファシリテーションに大切な技法は5つある
①議論の構成をデザインできる
まず、会議の目的を共有すること
つぎに論点がずれてしまった時は、会議の流れをコントロールする。
(意見をコントロールするという意味ではない。あくまで流れを正常に戻すこと)
さいごに、何を会議にてアウトプットするのかを明確に示すこと
②アンテナを立て、問いを立てられる
4つのアンテナを張りながら、議論に参加するメンバーへ
「有意義な問い」を投げかけることがファシリテーターの役割。
2-1.議論が「問い」からズレていないかアンテナ
ズレるパターンとしては、
・並列の論点にズレる(ハンバーガーの議論のなかで、ポテトの議論になる等)
・階層がズレる(販売戦略の議論で、会社経営の話に広がる、もしくは商品の話に狭まる)
・順序がズレる(問題の解明をしたいのに、解決策の話を出そうとする)
・ルールがズレる(ブレストでアイデア出しをしたいのに、善し悪しを都度評価する)
ズレの戻し方は、
直接指摘したり、チームメンバに確認し間接的に指摘、
また、いったん流してからキリがいいところで戻す、等でうまく戻す。
2-2.発言の意味が分かるか伝わっているかアンテナ
発言者は好き好きにしゃべるので、時に伝わらない場合もある。
発言の意味が分からなかった場合は、
素直に質問したり、結論から聞いてみたり(「結論から言うと、どういうこと?」)、
あらためて発言者に纏めなおさせてみる。
2-3.議論をどうやって広げるかアンテナ
ファシリテーターは議論の切り口を提示することで、活性化させる。
切り口を出すには、5W1Hで考えてみたり、
MECEであるかと考え要素分析するか等で切り口を出す。
どんな切り口を選択するかは、
「意見やアイデアが出しやすいか」
「切り口ごとに異なる意見やアイデアが出てきそうか」
「幅広い意見やアイデアが出てきそうか」を考えたうえで選択する。
2-4.どこを深堀するかアンテナ
議論していく中で、クリアにしないといけないことがでてくる。
以下のパターンが多いので、具体的な質問によって深堀していく。
・抽象的な場合⇒「具体的に言うとどういうことでしょう?」
・要因が分かりにくい場合⇒「なぜそうなると思いますか?」
・影響がありそうな場合⇒「その結果何が起きると思いますか?」
・手段が見えない場合⇒「ではどうやって実現すればよいでしょう?」
・根拠が見えにくい場合⇒「その根拠は何になるでしょう?」
③出てきた意見を整理できる
フレームワークを活用しながら、意見を整理する。
カテゴリで分けてみる。ロジックツリーで整理する等。
④グラフィックを効果的に使える
わかりやすい資料作成の手法をとる。
・見出しを書くこと
・関連性を示すこと(つながりを図で示す)
・ポイントを強調すること
・補足すること(吹き出しなど)
(この内容はファシリテーションというよりも、
資料作成について紹介されている本を参考にするのが良い。)
⑤議論のスタックから抜け出せる
現実的には、いちばん現場で悩むところかもしれない。
勘と経験によるものも大きいが、
以下のポイントを参考にするとよい。
・発言がうまく出てこない。
目的が共有されていなかったり、アウトプットがイメージできていない。
ファシリテーターがしゃべりすぎている等。
・議論が堂々巡りになっている
議論の軸がズレている。
意見が打ち止めになっていて、別の切り口が必要となっている等
・意見が対立している
議論の目的が参加者でズレが生じている。
⇒目的の再共有
参加者の価値判断の基準がずれている。
⇒発言の意味を質問し、お互いの基準の違いを理解する。
参加者間の情報量のズレ
⇒質問や、纏めなおしによって、参加者の理解レベルを合わせる。
言葉の定義のズレ
⇒参加者の業務背景を共有し、言葉の定義がなぜズレているか明らかにする。