どの会社でも見舞われる、
「ムダな会議」に対し、
明確な目的意識をもって、成果をもたらすための良書。
こんなグダグダな会議をしている会社は
本当にあるのかと思いつつ読み進めると、
自社にも思い当たる節が出てきそうなシーンがいくつかある。
新入社員、若手社員だけでなく、
会議を中心に運営する中堅社員や、
決定権をもつ 役職者についても気を付けるべき内容が記載されている。
年次が上がるほど、
おもいのままに発言し、会議をかき乱すシーンはよくあるからだ。
日ごろの振る舞いを反省しつつ、
明日からの会議をよりよくしていただければと思う。
実際の現場であるようなシナリオをもとに、
会議運営のてにをはを学んでいくストーリー仕立ての内容になっている。
サクサク読める内容なので、
自分の会議運営のレベルと照らし合わせて読み進めていただきたい。
会議終わりに確認する
グダグダな会議をまともにするために、
まず最初にやるべきことは、決定事項・Todo(やるべきこと)の確認である。
確認するだけなので、どの職層でも実践できる。
- 決定事項の確認
- Todo(だれが、いつまでに、何をするか)
現場ではよくあるが、「議事録」という形で、
参加者全員で確認内容をメール周知する。
もし認識が違えば、メンバーからの訂正があるし、
合意されれば、全員周知の事実となる。
会議開始時、終了条件と予定時間の確認
先述の通り、決定事項、Todoの確認をすることができたら、
次は会議を始めるときに何に気を付けるかだ。
間延びする会議の大半の原因は、
ゴール感を共有できておらず、
また、時間配分が出来ていない。
- 会議の終了条件を決める
(何が決まれば会議を終わってよいのか。会議の目的は何なのか) - 時間配分(どの議題に何分かけるか)
ビジネスの現場では、
「アジェンダ」とも呼ばれているものが作られている。
議題と時間配分が書かれた一枚ものである。
ただ、議題と時間だけ書かれ、会議の目的が共有されていない場合は多いだろう。
「会議参加者にとっては当たり前なので、わざわざ会議の目的を記載しない」
という意見があると思うが、
実は意外と出席者の間で頭合わせが出来ていない。
「終了条件」と言われると、普段聞きなれないので難しい。
会議で議論した結果、どのような「状態」に変化したか。
例えば、「議論の結果、課題に対する解決案がリストアップされた状態になる」等
書くことによる見える化
会議終了時、会議開始時にやることを見てきたが、
会議中にやることに注目してみよう。
出席者の発言を、文字として見える化し、
各ポイントが、意見なのか、論点なのか、決定事項なのかTodoなのかを、
マーキングしていくことである。
発言を書いていくことによって、
参加者の認識を合わせながら進めていくことができるし、
脱線しているかどうかも修正しやすい。
もちろん、記述係はプレッシャーがあるかと思う。
「書いている内容が間違っていたらどうしよう。」
「発言者の内容を理解できず、何を書いてよいかわからなかったらどうしよう。」
しかし、大体の場合は、発言者側に問題がある。
記述係が理解できない内容は、
他の出席者にとってもなかなか理解しづらいものだ。
遠慮なく発言者に聞き返せばよい。
それぐらいの気構えが大事だということ。
また、自分の会社以外でも、同じように記述が難しい発言はいくらでもあるのだ。
発展した会議に向けてのコツ
より良い会議を目指し、
会議中にファシリテーターが行うべきコツがある。
- 会議開催前に、終了条件と進め方を前提づくる。
→会議がうまくいくかどうかは、この事前準備にかかっている。 - 参加者のモヤモヤがないよう発散させきってから収束させる
→消化不良があれば、議論は戻りやすい。発散はさせるが、収束も大事。 - その場で議論すること、あとで関係者だけで個別議論するものを仕分けする
→限られた時間の中で、出席者がいないと決まらないことは何なのか - 発言が少ない人間に話を振る
→考え込んでいる場合もあるし、モヤモヤしている場合もある。
話を振って、何もなければ何もないで良い。 - 発言者の意図が明らかになるよう聞き直す
→会議では、語尾があいまいな発言が多くある。
質問したいのか、反対したいのか、聞き直すことが重要
会議の準備で重要なこと
会議の成功・失敗は準備にかかっている。
その準備段階では、4つのPがそろってるかどうかで判断すると良いようだ。
- Purpose:目的が定まっているか。終了条件が見据えられているか
- Process:どの順で何を議論すれば終了条件に到達するかの過程を考えているか
- People:議論に必要な人は誰か。議論に参加しない不要な人はいないか。
- Property:会議室など、議論に必要な備品はそろっているか
今までの通り、会議の成功の秘訣は準備段階にあるともいえるが、
最もとっつきやすいのは、会議後の確認だ。
若手が議事録作成のタスクを割り振られやすいのは納得である。
自身のポジションや、レベルに応じて、自分にいま何が足りないのか、
また、失敗した会議ではどこに原因があったのかを見直すために、
それぞれの要点を参考にしていただきたい。