今までで一番やさしいAIDMAの法則「トリガー 人を動かす行動経済学26の切り口」

 マーケティングに携わる人間として、

行動経済学のノウハウは押さえておきたいと思うはずだ。

 

より具体的で、現場目線のノウハウが沢山あるからだ。

 

この書籍は、

より実際の現場で役に立つ形で、

行動経済学の知見を紹介している。

 

今回のレビューでは、

よりまとまった形で、記憶しやすいように説明していく。

 

 

 

目次

 

マーケティング戦略行動経済学の距離感

現場で使われているマーケティング

フレームワークと、

行動経済学で得られた知見を紹介し、

マーケティングと組み合わせることの難しさを説いている。

 

我々が実際に一番触れている、マーケティングの考え方は、

コトラー教授が提案しているものであろう。

 

つまり、

3C分析、STP分析、4P分析といった流れである。

 

一方で、行動経済学は、

マーケティング思考からは捨て去られた、

人間の心理や感情といった不安定なものを取り扱う。

 

マーケティング戦略が、マクロな視点での考えだとすると、

行動経済学は超ミクロな視点での学問だとも言える。

 

行動経済学は、それゆえに、

きれいに体系化されておらず、

またフレームワークにもなっていないため、

MECEに考えることも難しい。

 

結果として、マーケティング戦略に組み込むには、

なかなか距離があるということなのだ。

 

行動経済学をつなげるための26の切り口

購買を5つのフェーズに分けて、

うまくマーケティングにつなげるための考え方を紹介している。

 

ここで皆さんにお願いしたいこととして、

以下で紹介されている手法を読み、

実際の企業で、似たような事例を想起してもらうことだ。

(当書籍では、より具体例を多く紹介されているので、

イメージが付かない場合は、そちらを参考にしてもらうのが良い。)

 

効率よく「好感認知」をつくる

AIDMAの法則の中での、Attention(認知)である。
より早く認知されることはマーケティング上、重要な意味を持つ。
具体的な手法が5つ紹介されている。

Attention(認知)

・無料モニター等のユーザーを広告塔として使う。
・それとわかるあからさまなデザインを採用する
知名度のある強力なパートナーに乗っかって宣伝する
・生活者が興味を持ちやすい社会的トピックに紐づけする
・ファンから情報発信してもらう。

 

あらたなニーズを創る

ものでありふれている時代においては、
ニーズは探すものではなく、ゼロから創り出すものになってきている。
AIDMADesire(欲求)に該当する。

Desire(欲求)

・いままで気が付かなかったリスクを強制想起させる
・脅威に感じるような新たな敵を紹介、認知させその防衛策を紹介する
・消費者の日常の中でのルーティンの中に新たな習慣を紐づけさせる
・罪悪感を持ちやすい商品に、体のいい言い訳を提供する
・ライフステージや人生の節目と、商品の購入を紐づける
・まず無料で一定期間、商品を保有させる
・商品を、日常的に目にする接点に露出させること

魅力的なものに見せる

ニーズがあっても、やっぱり踏ん切りがつかないことはある。
消費者の記憶に強く残すための施策であり、
AIDMAMemory(記憶)に該当する。

Memory(記憶)

・とにかくNo1であることを強調する
・商品が入手しにくいことでレア感を醸成する
・今までにない表現で機能、成分を強調し、「良さそうな雰囲気」を作る
・商品の背景や哲学、こだわりを物語にして伝える
・信用力のある第三者から情報を伝える

購入ストレスを低減させる

消費者の頭に強烈な印象が残り、
いざ買おうと思った時、購入することにストレスを感じることはある。
AIDMAAction(行動)を起こしやすくするための施策である。

Action(行動)

・購入し、意に沿わなかったら全額返金保証する
・商品の選択肢を絞り、購入時の意思決定のストレスを軽減する
・購入時の面倒な手続きや、経済負担を先送りし、先にサービスを届ける
・3つ前後の選択肢を提示し、相対的な選択肢のなかで選ばせる

自然に継続させる

Actionした消費者に対し、継続購入を目的とした施策である。
勿論、継続購入になると、購入ストレスが高まるので、
どれだけストレスを下げるかは重要な要素になる。

継続購入

・最初から「継続する状態」を作り出す
・「一定期間の利用」が前提となるようなルールを作る
・こまめな達成感を与え、ゴールに向かって継続する意思を高めさせる
・更新タイミングを見える化し、再購入を促す
・続けないと損になる仕掛けをつくり、見える化する

まとめ

行動経済学マーケティングの紐づけ方の難しさを紹介したのち、

AIDMAに沿う形で、26の手法を紹介した。

実際の企業の事例で、多く使われている内容だ。

 

では自分たちのビジネスに活かすには、

アナロジカル・シンキングが必要となる。

 

つまり、成功事例から学び、

自分のビジネスと似ている部分を抽出し、

うまく転用できないかを考えだすことである。

 

行動経済学の知見は、

フレームワークになっていないため、

具体的な実例から似た要素を抽出し、転用するのが一番正解に近い。

簡単に言うと、「良いところは真似をする精神」である。

 

似たところを抽出する観点として、

今回紹介した26の切り口を活用することで、

転用しやすくなるはずである。