FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

 我々は、

我々が思っている以上に、

この世界について誤った認識をしている。

 

合計13の質問から、

多くの人が誤った認識をしていることを

明らかにすることから、ストーリーが始まっている。

 

せっかくなので、次の3問に答えてみてほしい。

 

  • 現在、低所得国に暮らす女の子の何割が初等教育を修了するか
  1. 20%
  2. 40%
  3. 60%

 

  • 世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう
  1. 低所得国
  2. 中所得国
  3. 高所得国

 

  • 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったか
  1. 約2倍になった
  2. あまり変わっていない
  3. 半分になった

 

皆さんの答えはどうだっただろうか。

では、さっそくレビューしていこう。

 

 

 

 

 

目次

 

3つの質問の答え

冒頭の答えは、3,2,3である。

 

いまや6割の子は小学校を卒業しているし、

ほとんどの国が中所得層に位置づけられる。

極度の貧困に苦しめられる国はだいぶ減っており、

より良い世界が作られていることがわかる。

 

ただし、事実とは裏腹に

我々の認識は誤ったもので構成されていなかっただろうか。

 

それは、10個の本能によって、

事実を正しく受け止められていないことが原因である。

 

分断本能「世界は分断されている」

私たちは、勘違いをしている。

世界は二極化しているのだと。

 

だが実際には違う。

先進国と発展途上国と言われた仕分け方は、

いまでは時代錯誤だ。

 

著者のハンス・ロスリング氏は、

所得レベルで4つに分けている。

 

このレベルの概念は、

本書を通し、頻繁に出てくるので覚えておいてほしい。

 

 

レベル1

1日1ドル~2ドルの所得水準。

我々が「貧困」として

イメージしているものに近い生活をしている。

世界におよそ10億人いる

 

レベル2

1日2ドル~8ドルの所得水準。

暮らしに余裕が出てきており、

学校に通ったり、電気を使ったり、

自転車に乗ってプラ製のバケツに水を汲んできたり。

日ごろの生活に不安はないが、

病気になった時などの将来の不安は残っている。

世界におよそ30億人いる

 

レベル3

一日8ドル~32ドルの所得水準

家に水道管を引いてあったり、

電気も安定し冷蔵庫を使っていたりする。

バイクを買って給料の良い工場に通うことが出来る。

病気や事故にあっても、

貯金で何とか工面することが出来る。

世界におよそ20億人いる

 

レベル4

一日32ドル以上の所得水準

裕福な消費者である。

もはや一日3ドル余分に稼いでも、

暮らしに大差はない。

蛇口からはお湯が出て、

車も買うことが出来る。

世界におよそ10億人いる

 

この章で伝えたい重要なことは、

レベルわけの話ではない。

 

常日頃、われわれは

話の中で二極化の表現をしているが、

多くの場合は、実際に2分化はなく、

中間の部分に大半の人がいることを理解することだ。

 

 

ネガティブ本能「世界はどんどん悪くなっている」

コロナ禍であることも含め、

われわれは、毎日のようにネガティブなニュースを

耳にしているだろう。

 

しかし、

ネガティブな情報のほうが

圧倒的に耳に入りやすく、

物事が良くなったとしても

そのことを知る機会が少ない。

 

世界について、本能的に、

実際よりも悪いイメージを持ってしまう。

 

「悪い」と「良くなっている」は

両立することを正しく理解しておこう。

 

また、我々は、

「昔はよかった」と過去を美化したがることも

注意しておいてほしい。

 

直線本能「世界の人口はひたすら増え続ける」

本書の中では、

世界の人口について、

増加傾向にあることから、

人口が直線的に増加していくと

誤解してしまうことを説明している。

 

ただし、だいたい世界人口は110億人程度で

調和がとれると予想されている。

 

我々は、グラフを見ると、

どこかに収束していくのではなく、

直線的に伸びていくように思ってしまう。

 

我々は、昨今

コロナの感染者数を

毎日のようにグラフで見ていると思う。

 

直線傾向で見ていないか

胸に手を当てて考えてみてほしい。

 

 

恐怖本能「危険でないことを恐ろしいと考えてしまう」

ネガティブ思考に近いものではあるが、

「恐ろしいものには、自然と目が行ってしまう」

恐怖でパニックになると、

われわれは正常な判断が出来なくなってしまう。

 

落ち着いて物事を判断するためには、

リスクを正しく計算し、恐怖反応を抑える必要がある。

 

リスクとは、

その事態が起きたときの「危険度」、

その事態が起きる「頻度」の掛け算である。

 

コロナについては、

恐怖に感じていない人はほぼいないのではなかろうか。

一方、無症状感染も起きている。

 

リスクとして考えたときに、

自分がどう動くべきかを冷静に考えることが重要だ。

 

 

過大視本能「目の前の数字が一番重要だ」

ただ一つの数字が重要な数字であるように見えてしまう。

事態を正しく比較するには、割り算や掛け算などで、

単位を合わせる必要がある。

 

例えば、コロナの感染者数は、

大都市圏の数字を気にするであろうが、

例えば1万人当たりの感染者数として、

割り算すれば、違った見え方がするであろう。

 

他者から提供された数字を、

過大視して、そのまま判断するのではなく、

必要な数字に合わせ、

レベル1~4の同じレベルの国同士で

比較するなども有効であろう。

 

パターン化本能「一つの例がすべてに当てはまる」

われわれは、

集団を説明するために、

いくつかのパターンに沿って説明をする。

 

パターン化すること自体は悪くはないが、

一つの例を見ただけで、

それをすべてに当てはまるという

思い込みをしないことが重要だ

 

集団が大きい場合は、

より小さく、正しい分類わけが出来ないか探そう。

また、異なる集団の間に、

はっとするような共通点を見つけてしまったら、

その分類自体が正しいのかどうかを考え直そう。

 

宿命本能「すべてはあらかじめ決まっている」

宿命本能とは、

持って生まれた宿命によって、

人や国や宗教や文化の行方が決まってしまうという思い込みだ。

 

国単位で言えば、

レベル1の国は未来永劫レベル1のままだし、

恵まれた環境に生まれなかった人は、

永遠に恵まれないという勘違いである。

 

この本能は、

個人の人生感レベルで

大きな影響を与えている気がする。

「自分は一生成功できない宿命なのだ」等

 

我々が、

「決して変わることはない」と、

感じ、勘違いしてしまうのは、

変化がゆっくりであるからに原因がある。

 

小さな進歩を追いかけ、

自分の知識をアップデートすることが大事だ。

 

文化は変わる、

自分は変わることの

事例を調べよう。

 

すぐに、

「一生変わることはない」という

宿命本能は弱まるはずである。

 

 

純化本能「世界は一つの切り口で理解できる」

我々はシンプルなものの見方に惹かれる。

しかし、すべてに当てはめようとするのは、

間違いである場合も多い。

 

一つの視点だけで、

世界を見ようとしないことだ。

 

知ったかぶりはやめ、

自分の専門分野外のことを、

自分の専門分野になんでも当てはめて

解釈しようとすると、

時に間違った解釈に行きついてしまうことに

気を付けよう。

 

例えば、コロナの対策については、

様々な専門家が議論し、

コロナ対策を行っていると認識している。

 

もしすべてがすべて、

医療的な観点だけ、

経済的な観点だけで、対策を考えたとしたら、

正しい施策にたどり着くことが出来ないであろう。

 

犯人捜し本能「誰かを責めれば物事は解決する」

何か悪いことが起きたときに、

単純明快な理由を探したくなる。

 

誰が悪いのかという犯人を捜し、

怒りの矛先を向け、安心したいと思ってしまう。

 

誰かを責めるとほかの原因に目が向かなくなり、

次回に正しい対応が出来なくなってしまう。

 

まさに、コロナが蔓延したときには、

みんながみんな犯人探しを始めただろう。

 

マスクをしない人や、

路上でお酒を飲む人、

さもなくば、今の政治体制を

コロナ蔓延の犯人として糾弾している場合もある。

 

重要なのは、犯人ではなく、

うまく機能しないことの「原因」であり、

次うまく機能させるための「社会の仕組み」である。

 

 

焦り本能「今すぐ手を打たないと大変なことになる」

いつやるか?今でしょ!

今を逃したら、もう次はない。

巧みに、我々は焦らされ、

行動に移させようとされている。

 

行動しないよりも、

行動することのほうが良いと思うが、

焦って行動することに、

メリットはあまりない。

 

もしあなたが、

大胆な判断を、

「今すぐ決めなければならない」と

感じてしまっている場合、

自分の焦りに気が付いてほしい。

 

そして、いったん深呼吸し、

その判断を下してしまった時の

副作用として何が起きるかまで

考えを巡らせることが

正しい判断を下すために

重要なステップなのだ。

 

まとめ

分断本能を抑えるには、

大半の人はどこに当てはまるのかを探そう

 

ネガティブ本能を抑えるには、

悪いニュースのほうが広まりやすいと覚えておく

 

直線本能を抑えるには、

直線もいつかは曲がることを知る

 

恐怖本能を抑えるには、

リスク(危険度×頻度)を計算する

 

過大視本能を抑えるには、

数字を比較しよう

 

パターン化本能を抑えるには、

分類が正しいのかどうかを疑おう

 

宿命本能を抑えるには、

ゆっくりとした変化でも

変化しているのだということを

心にとめる

 

純化本能を抑えるには、

一つの知識がすべてに応用することは

できないことを覚えておく

 

犯人捜し本能を抑えるには、

誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じる

 

焦り本能を抑えるには、

すぐ判断するのではなく、

小さな一歩を重ねていく