担当になったら知っておきたいプロジェクトマネジメント実践講座

組織において何らかの役割を果たしていると、

プロジェクトマネジメントに携わることが多くなります。

 

今まではメンバーとして、

自分の成果を出しているだけだったとしても、

いつの日か、プロジェクトマネージャーとして、

プロジェクトを運営していくことを求められる時がきます。

 

この書籍は、

初めてプロジェクトマネジメントの担当になった人向けに、

分かりやすく網羅的に説明している良書です。

 

 

 

目次

 

 

プロジェクトマネジメントとは

プロジェクトとは、

「とある目的・目標を定め、期限までに達成するための一連の活動」

を意味します。

 

その意味では、

すべてのひとが何らかのプロジェクトを実行したことがあるでしょう。

 

例えば、

就職活動や、文化祭の出し物、

夏休みの宿題に至るまで。

 

目的・目標と期日があるという意味で、

そのすべてがプロジェクトと言えます。

 

複雑なプロジェクトになるほど、

達成することが難しく、

プロジェクトを成功に導くための手法が、

「プロジェクトマネジメント」なのです。

 

プロジェクトの流れは、

立ち上げ、計画、実行、コントロール終結

5つに分けられますが、

理解のしやすさも含め、

「目標設定」「計画」「実行」という

3つのプロセスに分けて説明します。

 

 

目標設定

 

目標設定で、一番大事なことは、

「プロジェクト憲章の作成」です。

プロジェクト憲章とは、難しい言葉ですが、

カンタンに言えば、次のように言えます。

 

なぜそのプロジェクトをやることになったかの背景、

プロジェクトが成功したといえるためのゴール、

プロジェクトを進めるうえでのルール、条件、

それら諸々を一つの資料にまとめたものが、

プロジェクト憲章です。

 

プロジェクト憲章の、主要要素は以下です。

沢山ありますが、何回か実践すると、

自分の中でパターン化されてきますので、

すべてを覚えられなくても、心配しないでください。

  1. プロジェクトの基本情報
  2. ビジネス的な背景
  3. プロジェクト概要、目的
  4. プロジェクトを達成したときの姿
  5. 成果物
  6. 成果物の納期
  7. プロジェクトの前提条件
  8. 制約条件
  9. 主要マイルストン、スケジュール
  10. 人的資源
  11. 予算
  12. 主要リスク
  13. プロジェクト組織、体制
  14. 各登場人物の役割、権限
  15. 主要ステークホルダー
  16. 変更コントロール
  17. 承認

 

「夏休みの宿題」をテーマにして考えてみます。

  1. 夏休みの宿題を終わらせて夏休みを満喫する
  2. 1学期が終わり、学校から膨大な宿題が課された
  3. 夏休みの宿題を終わらせ、海に行く約束を守ることが目的
  4. 8月中旬から、心置きなく夏休みを満喫できる状態
  5. 提出可能状態の宿題
  6. 8月15日
  7. 宿題をするための自習室、図書館を利用することが出来る
  8. 塾の夏期講習があり、宿題をする時間に制限がある
  9. 毎週1教科ごと宿題を完了させる
  10. 数学に強い同級生
  11. アメ、ドリンク代に予算を5000円
  12. 友人や家族から外出の誘い
  13. 実行者は自分、支援者として同級生という体制
  14. 同級生には難しい問題の解き方を教えてもらう
  15. 両親が主要ステークホルダーで、成績を気にしている
  16. 宿題のスケジュール変更は両親に許可を得る
  17. 夏休みの宿題プロジェクトは両親が承認する

 

計画

計画で実行することは、おおきく2つです。

WBS(Work Breakdown Structure)と、

ガントチャート(工程表)をつくることです。

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ガントチャート

 

WBSは、ゴールから逆算して、

成果物を分解します。

 

成果物をさらに要素レベルに分解し、

行動レベルまで落とし込む作業です。

 

つぎに、ガントチャートは、

WBSで洗い出した行動を、

スケジュールにしたものだと理解してください。

 

夏休みの宿題で言えば、

宿題を終わらせるというゴールから逆算し、

各科目ごとに課題(成果物)を分解します。

 

例えば、数学の宿題であれば、

課題は計算ドリル、問題集ですね。

 

問題集であれば、

正負の計算(10ページ)、二次方程式(12ページ)といった

具体的な作業がイメージできるまで落とし込むのが

WBSの目的となります。

 

そして、ガントチャートは、

7月10日から7月15日の間に、

問題集の二次方程式のパートを終わらせる、

といった計画を意味します。

 

また、依存関係のある宿題もあるでしょう。

読書感想文の宿題なら、

課題図書を読み終わらなければ、

作文に着手することはできません。

 

ガントチャートでは、

依存関係も気にしながら、

全体の作業をスケジュール化することが目的です。

 

 

そして、計画に沿って進めていくうえで、

想定外の事象を洗い出しておくことで、

プロジェクトの成功率は格段に変わってきます。

想定外の事象は、リスクと呼ばれます。

 

例えばですが、

友人からの突然の遊びの誘いがある、

体調を崩し、風邪をひく、

夏休みの途中で課題が増える、

等がリスクでしょうか。

 

リスクが顕在化したときのため、

あらかじめ対応策を練っておくことが重要です。

 

実行

プロジェクトを実行していくうえで、

キックオフミーティングは欠かせません。

 

キックオフの目的は、

特にチームビルディングにあるといっても良いでしょう。

 

プロジェクトの概要説明は勿論行う必要がありますが、

プロジェクトマネージャの自己紹介や、

チームメンバーの役割や、期待していることなど、

メンバー同士のお互いの人となりが分かるように進めます。

 

プロジェクトが進むと、

チームメンバー同士の衝突もありますが、

衝突を前提にチームビルディングしていく意識を持ちます。

 

また、プロジェクトは、

進捗確認するための情報収集がポイントです。

メンバーと関係性を作ったうえで、

定量的な情報を収集し、状況を判断していきます。

 

また、プロジェクトを実行していると、

変更要求が発生していきます。

 

特に最初のうちは変更要求が多く、

イヤになりがちですが、

最初にしっかり対応しておくと、

その後は徐々に減っていく傾向にありますし、

プロジェクトの達成に近づきます。

 

もともとの計画とのバランスを調整しながら、

変更要求へ対応していきましょう。

 

夏休みの例でいえば、

親の意向に基づいて、

塾の夏期講習が追加されるかもしれませんし、

他の変更要求もあるかもしれません。

 

もともとの計画である、

早めに宿題を終わらせて、

夏休みを満喫するという目的が達成されるのであれば、

変更要求を受け入れるのも問題ありません。

 

以上のとおり、

目的と計画、実行の3つに分けて説明しましたが、

身近な例をもとに、

プロジェクトマネジメントしたらどうなるかを

考えてみると、イメージが付きやすくなります。

 

是非トレーニングしてみて、

プロジェクトマネジメントのコツを

つかんでいきましょう。