ビジネススクールで身につける会計×戦略思考

当たり前のことであるが、

会計は企業活動の結果であり、

企業のビジネス戦略と紐づいている。

 

しかし、社内部署が縦割りだったり、

それぞれが専門家のように独立していたり、

別の分野のように見えてしまう。

 

ただし、経営の立場に立った時、

どちらも血液のように循環しており、

両方を合わせて語れることが経営者としての第一歩である。

 

 

 

 

目次

 

 

会計編

損益計算書

企業が活動を続けることで、売上げや利益が発生する。

本業は売上高、売上総利益、営業利益で表現され、

副業は営業外収益、経常利益で表現される。

 

そして、その年だけの利益や損失は、特別損益

また税引き前当期純利益などで表現される。

 

まずは、本業と副業、その年だけのお金の動き、

という3種類があることを頭に入れよう。

 

ニトリを例に挙げてみる。

ニトリは自分たちを

製造物流IT小売業」と自称しており、

可能な限り、自社で各活動を取り込んでいるからこそ、

10数パーもの純利益を達成できているといえる。

 

f:id:ognamiikusi:20210920105953p:plain

賃借対照表

 

次にニトリの賃借対照表を見てみる。

BSはカタマリから読み、

大きな数字を優先に見ていく。

ただ数字を見るのではなく、

ビジネスモデルを仮説においてから読むことで、

数字のイメージが付きやすくなる。

 

f:id:ognamiikusi:20210920103409p:plain

f:id:ognamiikusi:20210920103444p:plain

 

まずニトリは、

今までの積み重ねである利益剰余金が約8割。

負債としては、

未払金が200億。

これは宣伝費や店舗構築費が含まれる。

 

買掛金や支払手形も約200億あるのは、

メーカーから商品を購入している金額分である。

 

ここから推測できるように、ニトリは、

家具用品の企画から始まり、

メーカーへの製造委託、

自社店舗で小売販売という

ビジネスモデルを展開している。

 

資産の部においては、

やはり固定資産が大きくなる。

特に、郊外に巨大な店舗を抱えているため、

賃借できる物件が少ない。

そのため、自社で土地や建物を所有せねばならず、

BSの固定資産に表れているといってよいだろう。

 

このように、

数字だけを見ても、ビジネスモデルだけを見ても、

片手落ちになってしまう。

両方で企業を分析することが重要である。

 

企業のPL/BSを仮説構築する

 

企業の決算書を見る前に、

先に仮説を立ててから考える必要がある。

そのためには、

つぎの14つのポイントをもとに、

仮説を立てることで、企業のイメージが付く。

 

  1. 売上、利益が成長しているか
  2. 売上総利益は高いか
  3. 販管費は多いか
  4. 研究開発費は多いか
  5. 利益率(純利益)は良いか
  6. 現金は多いか
  7. 売掛金の回収は早いか
  8. 在庫の量は多いか
  9. 設備の規模は大きいか
  10. 株式・債券の保有は多いか
  11. 買掛金の支払いは早いか
  12. 借金は多いか
  13. 資本金は多いか
  14. 利益剰余金は多いか

 

戦略編

5つの力

とある企業を分析する際に、

まずは、その企業が所属する

業界図を把握する必要がある。

 

業界を分析するときには、

ポーターの5つの力で、

分析することが有効だ。

 

業界のリーダー企業をベースに、

5つの力で業界動向を分析すると、

イメージしやすい。

 

f:id:ognamiikusi:20211123170832p:plain



バリューチェーンの比較

2社間のPLを比較するとき、

売上構造の違いがどこで起きているのかを

明らかにするためには、

バリューチェーンを用いて比較するとわかりやすい。

 

企業の主活動は、バリューチェーンで表現され、

会計では、売上から営業利益までが紐づいている。

 

f:id:ognamiikusi:20211123180124p:plain

 

 

例えば、

自社開発が強い企業は、

研究開発に力を入れているため、

研究開発費=販管費が高くなる。

しかし、売値が高いため、粗利が高くなる傾向がある。

 

一方、自社開発が少ない企業は、

販管費を抑える代わりに、売値が低く粗利が低い。

製薬業界でいえば、

自社で研究開発している企業と、

ジェネリック医薬品を扱う企業の違いだと分かりやすい。

 

ほかにも、

製造フェーズで違いを生んでいる企業や、

プロモーション・販売活動、販売チャネルで

違いがある企業で、企業の戦略が異なっている。

 

マーケティングミックス(4P/4C)

マーケティングミックスは、

企業の戦略が具体化したものである。

 

その背景には、

STP(セグメント、ターゲティング、ポジショニング)がある。

 

企業の4P/4C戦略は、

PL、BSの両方に体現されている。

 

f:id:ognamiikusi:20211123181912p:plain

 

まとめ

企業の活動を、

会計と戦略に分けて解説してきた。

 

どちらも独立しておらず

相互的なものだとよくわかったかと思う。

 

当書のなかでは、

多くの事例を紹介している。

 

自身の会計力、戦略的思考力を高めるためには、

具体的事例を用い、

自分で分析することが一番の近道である。

 

最初は間違えることも多いかもしれないが、

自分の身近な業界から始めていくことがよいだろう。