決算書の比較図鑑 見るだけで「儲かるビジネスモデル」までわかる

決算書はどうやって見ればいいのか。

単なる数字として読むと全く面白くありません。

 

ビジネスの実態と紐づけて読み解くことで、

単なる数字分析、単なるビジネスモデル分析以上の

より深いレベルで企業を理解することができます。

 

決算書を短時間でたくさん読むためには、

図でイメージして、

同業他社で比較することが重要です。

 

同じ業界だからこそ、

業界特有の共通点や

各社がこだわっているビジネスモデルの独自性が

見えてくるでしょう。

 

 

 

 

目次

 

ワークマン・スノーピーク

ワークマンのPLを見ると、

特徴としては営業収益がおおきい。

 

ワークマンは、

フランチャイズビジネスで大きく展開しており、

原価率は85%と高水準であるが、

そのかわり、販管費フランチャイジーにかかるため、

結果として高い利益率を達成できている。

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スノーピークのPLを見ると、

人件費が高い比率を占めるが、

ブランドを伝えるために、

ショップ販売員の人件費が割合を占めている。

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また、BSをみると、

有形固定資産が増えており、

白馬や新潟に体験型複合施設を開設していることが要因。

Snow Peak FIELD SUITE HAKUBA KITAONE KOGEN【公式】Snow Peak FIELD SUITE HAKUBA KITAONE KOGEN【公式】 (fieldsuite-hakuba.com)

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戦略的に、「コト消費」に移行していることが

財務諸表にも表れている。

 

SanSan・マネーフォワード

名刺管理アプリのSanSanについては、

PL表を見ると、売上高106億円に対し、

原価15%、販管費が90%近く。

若干の営業損失が発生している。

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しかし、営業CFはプラスになっている。

その理由としては、

法人向けの名刺管理システムは、

契約時に1年分の初期費用、

運用管理支援費を前払い計上している。

流動負債の7割以上が前受金に表れている。

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その一方で、マネーフォワードは、

流動資産が大きく増加。

2019年から、アーリーペイメントという

売掛債権を早期資金化するサービスを開始しています。

 

買取った債権が増加し、

現金化に時間がかかるため、

営業CFがマイナスとなっている。

借り入れや増資など、財務CF活動によって

資金繰りをしているが、

今後のサービス拡大のため、

慎重な経営判断が必要となってきます。

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バルミューダ・ヤーマン・ツインバード

バルミューダといえば、

トースターや、最近ではスマートフォン等、

デザイン性の高い製品が魅力の企業。

 

バルミューダは、

工場を持たないファブレス企業。

 

製品企画、デザインし、

委託先にて製造委託したものを仕入れし、

販売、卸売りしているため、

固定資産は少ない。

 

ブランド力を高めているからこそ、

高価格で販売できているといえる。

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ヤーマンは美顔器を中心とした販売をしている。

こちらもファブレス企業であり、

協力工場に製造を委託しています。

 

企画開発に力を入れており、

販管費は広告宣伝費が大きな割合を占めます。

ヤーマンは、

現金預金と内部留保が大きいことが特徴で、

今後の戦略のために、

何に投資していくのかに注目したい企業です。

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ツインバードは、

カタログギフトや家電量販店のチャネルで販売し、

利益率が低くなっていることが課題です。

燕三条のブランドを活かしながら、

製品単価を上げ、利益率を確保していくことが重要になっています。

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NetflixSpotify

最後に、財務諸表は添付しないが、2社を紹介します。

 

Netflixは言わずと知れた動画配信サービス。

動画コンテンツは、無形の固定資産として計上されます。

この会社は、コンテンツへの投資が高く、

PL上では減価償却分としての費用がかかって、

営業利益はプラスになっていますが、

キャッシュフロー上は大きくマイナスとなっています。

 

特に戦略上、他社と差別化するため、

独自の動画コンテンツへの投資が高まっており、

それが一層、営業CFとのギャップを生んでいます。

 

Spotifyは、

営業利益はマイナスの一方、

営業CFはプラスになっています。

 

基本的に、楽曲使用料よりも先に、

月額会員や、年額会員からの前受収入があるため、

ビジネスを拡大すればするほど、

キャッシュが増える仕組みになっています。

 

無料会員に対しては、

曲の間に広告が流れるようになっており、

それがマネタイズにもつながっています。