当書籍は、前回投稿したロジカルプレゼンテーションの続編にあたる。
そのため、ケーススタディも、前作の内容を引き継いでいる。
より学びを深めたいのであれば、
前作を通し読みしたうえで、今作を読み進めていただきたい。
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今作は、前作のような教科書チックな内容と異なり、
より「現場寄りの内容」になっている。
後半の内容については、
問題解決および定着化について触れられているので、
現場のオペレーションに問題を抱えている人には参考になる。
前提としては、問題の特定、原因特定が正しくできてからの
解決策という流れなので、
まずは問題特定と原因特定のステップに注力すべきであろう。
問題解決の手順は、おおきく3つのステップから成立つ。
問題の所在を見つけるWHERE
原因を探るWHY
対策を打つためのHOW である。
よくある問題解決の失敗は、HOW思考で、
「とりあえず売上げが減っているから、広告を打とう」等、
短絡的に対抗策を打つ思考である。現場のほとんどで陥っている状況だ。
そのHOW思考に陥る理由としては、
「勘と経験による思い込み」
⇒いままで営業してきた長年の勘が言っている。
簡単な内容であれば勘と経験に頼ることは否定しないが、
昨今のビジネス背景を考えると情報が複合的になっているため、
勘と経験が通用しない場合もある。
「無責任・無関心」
⇒中間管理職に良く起きているように思える。
『問題の特定や分析、調査は誰かがやってくれる。
自分は上司や、企画部門の言うことを聞いていればよい。』
といった発想を持ってしまっている。
部下を取りまとめしている中間管理職が、
問題に対して無責任・無関心というのは恥ずべきことである。
「HOW指示」
現場執行の管理者にありがち。
わざわざ担当者に説明する時間がもったいないため、
背景を説明せずに、とりあえずやれと指示するだけ。
問題はどこにあるのかを導き出すには、
「4W」で切り口を考えるのが良い。
問題意識をWHEN、WHERE、WHO、WHATで分解することだ。
例えば、売上げが下がっているという問題意識について、
WHEN(いつの時期か。もしくは季節、時間帯か)、
WHERE(チャネル。どの地域か、どの店舗か)
WHO(どの顧客層か、男女、年齢層)、
WHAT(何の商品か?)
問題解決したいテーマについては、
大きく5つのテーマがある。
先述したような、「売上系」、
「コスト系」、「技術・性能系」、「製造・品質系」、「業務系」の5つである。
「①売上系」
WHEN:季節、平日休日、午前午後、朝昼晩
WHERE:都道府県、市町村、都市・郊外、駅前・郊外
WHO:男女、年齢層、職業別、国籍別
WHAT:商品カテゴリ、商品アイテムごと
「②コスト系」
WHEN:いつ発生するコストか。季節、平日休日、午前午後、朝昼晩
WHERE:都道府県、市町村、都市・郊外、駅前・郊外
WHO:管理職、一般社員、アルバイト
WHAT:仕入れコスト、販売コスト、流通コスト、業務ごとの残業代
「③技術・性能系」(食品などのイメージ)
WHEN:いつ作ったものか。季節、平日休日、午前午後、朝昼晩
WHERE:どこで作ったものか。都道府県、市町村、都市・郊外、駅前・郊外
WHO:誰が作ったものか。社員A、社員B・・・
WHAT:製造物の構成要素。また、性能要件(甘い、辛い、コク、食感など)
「④製造・品質系」(工場のイメージ)
WHEN:いつ作ったものか。季節、平日休日、午前午後、朝昼晩
WHERE:どこで製造したものか。都道府県、市町村、都市・郊外、駅前・郊外
WHO:誰が作ったものか。製造担当者
WHAT:製造物の構成要素。
製造系では、上記に加え、プロセスで分けたり、
「4M(人、材料、機械、工法)」で分けることもある。
製造現場での基本的なフレームワークである。
「⑤業務系」(間接部署、事務部門の業務イメージ)
WHEN:いつのミスか。
WHERE:どこで作ったものか。都道府県、市町村。直営店・FC店
WHO:事務担当者ごと
WHAT:人件費、事務コストなど
フレームワークを活用し、良い切り口を見つけ出すと、
ある特定の場所に定量的な特徴が見えてくる。
(悪い切り口だと、「全体的に悪い」となり、本質が見えていない)
良き切り口で問題の箇所「WHERE」が見つかったら、
WHYの段階に移行する。
いわゆるMECEに問題を切り分け、
「なぜ」を繰り返し掘り下げていき、樹形図を作っていく。
(「打ち止め」になるまで「なぜ」を繰り返すこと)
WHYを続けるうえで、途中で力尽きることが多い。
樹形図(ロジックツリー)の形が以下の3パターンのどれかになった時は、
黄色信号だと思ってほしい。
一直線型:課題と原因が直列に繋がっている。本当は各要素が関連しあうはず。
末広がり型:広がって纏まりが無い。事実でない可能性が列挙されている場合も。
気球型:樹形図の深いところで、突然1つの原因に収束。無意識に収束させている。
WHYに対する樹形図が出来たら、
優先度をつけ、効果があるか、全体に影響があるかなどの軸で、
HOWを考えていくためのポイントを決める。
すべてを対策しようと思うと、
リソースと時間の問題で終わらなくなってしまうから。
なお、HOWについては、
ケーススタディに沿った内容で詳しく書かれており、
書籍を実際に読んでいただいたほうが理解できるため詳細は割愛する。
HOWのポイントとしては、
「効果」「コスト」「時間」等の評価から、対応策を整理すること。
KGI/KPIに落とし込み、ウォッチできるように仕組み化すること
実行計画表に落とし込み、タスクをスケジュール化すること(マイルストンも)
会社の仕組みとして継続できるようPDCAサイクルを回すこと
(現場では、よくPlan-Do-Plan-Doや、Do-Do-Do-Doになりがち)
HOWは、現場での実践をもとに、
自分がうまくできるようなルーティンにすべきであろうが、
WHEREとWHYについては、どの業界、企業においても、
考え方としては共通であるので、
まずはこの2つを外さないようにしよう。