図解 ドラッカー入門(1時間でわかる)

ドラッカーについて学ぶ必要があると認識した際、

何から手を付ければよいかと思うだろう。

 

 

下手に手を出して、

内容が難しく、挫折してしまったらどうしようか。

そう思ってしまうかもしれない。

 

ドラッカーはマネジメントと社会をどのようにとらえていたのか。

書籍をもとに理解を深められれば良い。

 

なお、著者の見解や、

昨今の市場動向も反映した内容が補記されているので、

ドラッカーの思想をもとに、纏めながらアレンジしたというのが

当書籍の正しい理解かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 ドラッカーの著作を、大きく5つの章にまとめたものが、

当書籍の構成になっている。

 

働く人が共通して意識すること

なぜ働くのか、働き続ける意味を考えよう。

仕事に対するモチベーションがないからと言って、

それを社会や他人のせいにしても解決はしない。

 

仕事の根本的な目的は、「貢献」なのである。

この内容は、「嫌われる勇気」でも紹介したが、

大事なのは共同体への貢献感だ。

biz-book-review.hatenablog.com

 

そして、なにに貢献したいかということについては

「あなたは何によって(他人に)覚えられたいですか?」という

問いかけが重要だということ。

その問いは、年齢とともに変わっていくべきであるし、

問いに真剣に向き合うことで、人生に良い変化をもたらすことができる

 

では、実際に会社や共同体で仕事をする上では

何に気を付けて仕事をすればよいだろうか。

 

どんな職場であろうと仕事の基本は同じである。

自分に求められていることは何かを知らなければ、

仕事はうまくは回らない。

 

上司と定期的に仕事の目標と成果についてチェックすることが大切だ。

 

自分の仕事の優先順位を決め、

(未来につながるもの、新たなチャンスにつながるもの、

独自性がある事、難関なこと)

自分の強みを活かし、貢献していく。

 

仕事の完璧さを求めることは前提であるが、

重大な失敗を犯してしまうことはある。

 

失敗は誠実に報告し、最善の対策を一秒でも早く検討できることが大事。

自分の保身のために黙っていても、自分の信頼を失うだけである。

 

働く先輩として身に着ける視点

働く先輩として、身に着けておくべきマネジメントの基本は、

「誰もがエグゼクティブである」という自覚を持ち、

組織の成果に実質的な貢献をする。

 

自分のことだけを考え、他人事として働くのではないということだ。

 

なお、事業で大事なことはお客様を大事にすることである。

 

会社よがりな立場で、お客様をないがしろにすることが多いが、

お客様の満足を追求することで、会社への利益へとつながることを

心から理解しなければならない。

 

 社員は社長になったつもりで働く必要がある。

言い換えると、先述の通り、「当事者意識を持つこと」でもある。

 

ときには、会社と自分の価値観が合わないこともあるだろう。

どういう場合であれば、会社を辞めても良い、

辞めたほうが自分にとって幸せなのだろうか。

 

ドラッカーは自身の経験と照らし合わせ、

辞めたほうが良い場合を、4つのケースを挙げている。

 

  • 不正や不正を許す風土が蔓延し、組織が腐っている
  • 自分の強みが生かせる適所についていない
  • 成果が認めもされず評価もされない
  • 会社の価値観と自分の価値観が相いれない

 

 

会社に勤め続けていると、

次第にリーダーシップを求められてくる。

 

リーダーシップとは素質ではなく、

行動を重ねた結果、後天的に身に着けられるものであると述べている。

 

リーダーとして認められるためには、

以下の7つの要素を実行し、

周囲の信頼を得、後に続く人がいる人のことを言う。

  • 目的・使命を明確にする
  • メンバーに説明し、理解を求める
  • 起源や求められる成果を確認する
  • メンバーと一緒に進め方を決める
  • 役割と責任を割り振る
  • メンバーの相談に乗る
  • 最終的な責任を取る

 

 

上司とマネージャーに求められること

組織の一員として、

部下を持つようになってくるであろう。

 

PDCAは現場でいちばん使われる言葉の一つであるが、

部下の管理にPDCAを使ってはいけない。

 

PDCAはもともと品質管理、製造管理の話だったが、

部下の管理はヒトの管理であるからだ。

 

では、どのようにマネジメントしていくべきか、

マネージャーは5つの基本的な仕事があるという。

つまり、

①関係者とのコミュニケーションによって目標を定め、

②目標達成のための仕事を部下に割り当て、

③コミュニケーションを通じ、チーム全体で一緒に成果を出そうとする動機付け、

④組織と個人の評価基準を定め、測定・評価し、

⑤測定された情報を活用し、自分と部下の両方が相互成長する

ということである。

 

部下は上司の道具ではないので、

積極的に権限を与え、部下自身に仕事に対する

責任感を自覚してもらえるようにする。

 

また、部下を評価するときは、

「点数をつける」のではなく、

「成長させる機会」をつくることだと意識する。

 

以前の投稿記事にて、軽く触れた通り、

人事評価に前向きなイメージを持っている人が少ないのも

否定できない事実である。

 

しかし、間違っても、

部下の強みや可能性をつぶすような評価をしてはいけない。

 

 

マネージャーになってくると、

会議に出席することが多くなってくる。

やはり、生産性の低い会議というものの増えてくる。

ドラッカーは、会議の生産性を問う前に、

自分自身の働きかけによって、生産性を上げることを提唱している。

 

具体的には、

以下の5つのポイントを挙げている。

  • 重要な発言をすべき人は、会議の司会にならないようにする
  • 会議の始まりに、その会議の「目的と果たすべき貢献」を明らかにする
  • 出席者の全員が議論に参加するようにする
  • 会議の目的とずれないよう、自他ともに自制するよう促す
  • 会議終了時に「目的と果たすべき貢献」と結論を関連付け、全員で認識合せする

 

具体的な、会議の進め方は、以前レビューした書籍が

大変参考になるので、興味がある方は目を通してほしい。

 

biz-bok-review.hatenablog.com

 

 

職場で部下たちとうまくやっていくためには、

人間関係をよくすることが重要である。

 

お互いの助け合いが仕事には重要であるからだ。

社員自身も、職場の仲間と心のきずなを深めたいと考えている。

 

上司としてやるべきことの第一歩は、

実は意外にも「自分の上司との信頼関係づくり」である。

部下は自分の上司の人間関係をしっかり見ているからだという。

 

では、どうすれば自分の上司と信頼関係を構築できるか。

3つが重要だという。

  • 上司が良い結果を出せるようサポートする
  • 上司の性格に合わせた形式(書面・口頭)で月に1回報告する
  • 上司の強みを活かし、弱みを補完する

 

部下はあなたの振る舞いを見て、学び、参考とするので、

部下たちとの信頼関係を構築したいのであれば、

まずは自分が自分の上司とうまくやることから始めよう。

 

もちろん、仕事だけでなく、

仕事以外でも仲間意識を高めることが大事でもある。

(強制的な雰囲気を出したら元も子もないが。)

 

 

リーダーとマネージャー

役職が上がってくると、

自身の意思決定や行動が全社的な影響を持つことが増えてくる。

 

会社という組織への貢献もであるが、

もっと大きな共同体、つまり社会へ自分を役立てるために、

会社を活用するということも考えていく必要がある。

 

まず念頭に置くことは、企業の目的は利益ではないこと。

勿論、利益がなければ会社が継続することは難しい。

そのうえで、ドラッカーは、

利益を「将来の企業活動のために必要なコスト」だとみなした。

 

では企業の目的は何であるか、

冒頭に合った通り、企業が大事にすべきは「お客様」である

 

お客様を起点にして、経営戦略を立てる必要があるが、

5つのポイントを自身に問いかけ、納得いく戦略を作り上げる。

  • 私たちの目的と使命は何か
  • 私たちのお客様(取引先含む)は誰か
  • お客様の求める、お金を出しても求めたい価値は何か
  • 私たちはお客様に何をどのように提供すべきか
  • 私たちの短期、中期的な計画は何か

 

お客様との関係づくりのために、マーケティング活動が行われる。

 

ドラッカーにとって、マーケティングとは、

「お客様が購入している価値は何かを考えること」であり、

「製品やサービスがおのずと売れる仕掛けを作ること」と捉えている。

 

そのためには、お客様の価値観・ニーズを明らかにし、

提供すべきサービスや製品を明確にすること

 

もし、そこに行きつくことができないのであれば、

あらためて、「わが社の事業は何か、何であるべきか」

「私たちのお客様は誰か」を再度検討する必要がある。

 

 

イノベーターを目指して

 

イノベーターとは、自らより良い社会づくりをする人である。

働く人はだれもが、ある時点で第二の人生を歩むことになる。

(つまり、本業とは別の仕事や定年後の仕事を持つということ)

 

いまや、誰もが「第二の人生」に関心を持っている。

若いころから、次のような第二の人生を考えておくべきだと説いている。

  • 自分が今の仕事以上に社会に貢献するために組織を移る
  • 非営利組織などボランティア活動に参加する
  • 自ら社会起業家となり非営利組織を運営する

 

 

新しく会社を起業し、ベンチャーを成功させたいと思った時、

その成功条件についてドラッカーは語っている。

  • とことん市場の反応を見て、それを機会につなげる
    製品・サービスに対するお客様の声に直ちに反応し、改善まで迅速に行う
  • 財務管理が出来ている。
    営業管理に必要な現金や勝負場面に必要な資金がある
  • 創業者が事業の成長を邪魔をしない
    経営メンバーと相談して、事業の将来と自分の役割を決定している
  • 経営メンバーが起業前から信頼を築き、各々の分野で役割・責任を果たす
  • 信頼できる助言者が社外にいる
    創業者と経営メンバーが相談と助言を求められる人物がいること

 

また、ベンチャーの成功には、

マネジメントも必要となってくる。

 

ドラッカーは、ベンチャーを起業するまでの強みとして、

5~10年の経営管理の経験、

大企業での5~8年での業務実績が重要だと挙げている。

 

 

また、ドラッカーNPOなどの社会セクターに希望を持っていた。

社会セクターの目的は、「人間を変えること」だと述べている。

 

「社会をよくするために、自分には何ができるか」を考え、

よりよい社会を実現していく市民活動に働くことの達成感がある。

 

非営利組織の成功条件は、一般の企業と比べて難易度が高い。

  • リーダーが組織の手本であること
  • マーケティングに絶対的に強いこと
    (ニッチ市場を狙う)
  • 資金源を確保すること
    (寄付者へのきめ細かい対応)
  • コミュニティとの支援者たちとの絆を作る